独中女の取材で約100人に会って感じたこと
私がコラム『独中女の心の叫びを聞いてくれ』
を連載している時、多様な40代独身女性に
取材をさせてもらった。
共通点を言うと、
皆、「まじめ」ということだ。
どこまでも、
これでもかと
努力して、頑張る。
男性と付き合うことにも、
仕事を頑張ることも、
努力して、困難を乗り越えようとし、
すごいパワーで若い頃から、
頑張っていた。
かく言う私も、
両親が離婚し、
留学も諦め、
自分が経済的に自立することが、
母に対して親孝行だと思い、
突然働き出す人生になっても、
一生懸命働いた。
家庭の事情で、
自分のライフプランを
軌道修正せざるを得なかった。
自分を認めて貰いたいと
いう選択の就職というより、
生きるために働いた。
頼れる実家がなかったからだ。
取材で会った「もう死んでもいいと思っている」人
女性が自己承認を受ける機会は、
仕事上か、男性からモテるとか、
可愛いとかが、分かり易くある。
独中女さんで、
取材の公募をして
申し込んできた人の中で、
自分は大変なブサイクで、
この世のものと思えないほど醜い。
だから結婚は諦めている。
と書いてきた人がいた。
実際に会ってみると、
息をのんだ。
醜い女と言うからには、
相当なのだろうと、
覚悟して対面したが、
全く以て、スタイルもいいし、
全く醜くない。
その自己承認の低い発言は、
取材中何度もでてきた。
何でそんなに卑下するのかと
思ったら、やはり、幼少のころから、
周りに自分のことをブスだブスだという
人がいたことだ。
専門職の職場でも、
女子がキラキラ競争の中で、
自分はついていけないと
疲弊していた。
また父親から子供の時から未だに、
承認して貰えていない
ことが影響しているようだ。
彼女は、もう死んでもいいとまで言っていた。
だが、病気の母が生きている間だけは、
悲しませるので、死ねないと言うのだ。
私は「わかります」と答えた。
これは単にテキトーに返した言葉ではない。
本当にそう思ったからだ。
私は33才で好きな仕事をするために、
クリニックの事務長を辞め、
当時、吉本の社長の横澤彪氏と出会い、
吉本に呼んでもらった。
それから5年あーだこたーだ頑張るが、
仕事はない。
その5年のことを綴った本、
『三十路のカサブタ』を上梓させてもらい
無名で珍しく2刷りいったことは、
原稿まですべてチェックして下さった、
横澤氏と共に、どんたげ喜んだかわからない。
だが、それからが長かった。
吉本の収入は生活できるものではなく、
バイトで生活を繋いだ。
本当にバイト的なものもあれば、
派遣社員として、様々な企業で、
なんでもして働いた。
その中で、正社員と派遣社員の
あからさまなヒエラルキーを
感じさせられること
数知れず。
途中、私の現状に、
いつまでも夢を追ってないでとか、
傲慢だとか、指摘する人もいた。
また無邪気なふりして、
ある意味作為的な、
年下の女子の
心無い言葉で傷ついたことも
たくさんあった。
派遣先では、
正社員が、どうしようもない仕事の
指示をしてくる。
こんなアホなやつから、
指示を受けなくてはならない自分は
一体・・・と自分に腹立つこともあった。
正社員だとそんなに偉いのかと
思うほど、くだらない価値観で
対応する人もいた。
だが、くだらないやつは、
気にしないことにした。
40歳前後の悩みの深さ
だが、30代後半、40代を目の前にして、
どんどん悩みは深くなっていった。
仕事でうまくいかないと、
結婚したくなるのは、
どの独身女性も考えたことがあると思うが、
若い頃と違って、
それも40の声が聞こえてこようとなってくると、
自分の変わらない人生に辟易してくる。
子供の頃から憧れていた、
結婚・出産といとう、
未体験のライフイベントが、
いつまで経っても経験できない。
私が生きてきた道は間違っていたのだろうか。
自分の好きなことをしたいと思って、
こんな道を選んできてしまったのは、
アホだったのだろうか。
そんなことも考えることもあった。
頑張って報われないことが続くと、
心の奥の奥の芯から、
もう何もできないんじゃないかと
思えてもきた。
40才前後になると
今までの生きてきた自分が良かったのか、
こまのままでいいのか、
今まではよしとしてきた価値観が揺らぐことを
学問的に「中年の危機」という。
もちろん、既婚者も未婚者もね。
このことをもし事前に知っていたら、
もう少し、心構えができたかもしれない。
これはかなり苦しい。
鬱病になってしまう人もいる。
私自身、
今後の人生をどうするか、
当時は、とにかく、疲れ切っていたことを
思い出す。
思い通りにならないのことのほうが
多い人生ではあるが、
このまま夢を諦めたほうがいいのか、
かと言って付き合っている人もいないので、
結婚をするとなると、40歳という年齢は、
結婚相談所にさえも入所するには厳しい。
(※今は、40歳女性対象のところも多いが、
当時はあまりなかった。)
仕事でも自分を確立できない、
恋愛でも自分を求めてくれる人がいない。
親は年を取ってくる。
経済的安定は、精神的安定。
収入にむらがあると余計、
余生が心配になる。
考えても仕方のないことなのに、
漠然とした不安で、
押しつぶされてしまいそうになったこと
度々だ。
雨宮さんは、
お仕事で、何冊も本を出して
結果を出している。
だが、ライターという
自由業だと、
今後自分に今まで通り、
仕事が継続して
入ってくる保障はない。
彼女が現在彼がいたかいないか
知らないが、結婚の兆しがなかったとしたら、
仕事の不安と、今後の人生の不安と
あいまってしまったのかもしれない。
独中女の取材で会った人をもう一人ご紹介
独中女のコラム連載の取材で、
こんな人がいた。
彼女は、自分で会社を作り、
それが成功して、
今、駅前のタワーマンションに
1人で住んでいた。
彼女は、家も、車も、宝石も、
なんでも自分で買えた。
彼女は、結婚したいと思わないと
キッパリと言った。
男なんて、セックスしたら、
とっとと、私のベットから出て、
帰っていってほしいとまで言っていた。
清々しいほどに、
男を馬鹿にしていた。
昔の桃井かおりさんのセリフを私は
思い出した。
彼女は経済的に完璧に自立し、
日本人の平均的年収より
はるかに稼いでいたから、
そこまでになれたのかもしれない。
「何のために生きるのか」
この質問に即答できる人は、
少ないのではないか。
またこんなことを考えてしまうのは、
時間があるからかもしれない。
こんなことを考えしまったら、
負のスパイラルにはまる。
こゆことを考えるのもとても
大切なことと思うが、
全てがいい結果を招くとは限らない。
畑仕事を毎日しているという
元気な80代、90代のおばあちゃんが、
よくテレビに出ることがあるが、
ああいう長寿の方は、
何のために生きているかなんて、
考えているだろうか。
朝起きて、畑仕事をして、
夜になってお風呂入って寝る。
規則正しい生活の中に、
憂いはないのだ。
子供がいたら、
子供のために死ねないと言える。
ペットを飼っていたら、
この子のために死ねないと言える。
親が生きていたら、
親が悲しむから死ねないと言える。
ある意味、人と命のしがらみがあったら、
死ぬことを超えられる機会になる。
でも独身で、しがらみが私にはなくなったからと、
死んではいけない。
今までの友人だって悲しむのだ。
これは雨宮さんと交流がある、
同じくキラキラしてない独身女性を
綴った能町みね子さんのツイッター。
残された友だって、
混乱して悲しませるのだ。
死にたい。鬱かなと思ったら、
カジュアルに、専門医にかかっていいと思う。
私もそういったクリニックに
何度か行こうと思ったことがある。
大昔しの話しだが、
男に自分のクレジットカードを
満額使われたことがあった時とか、
やっと好きになれる人と
出会えたと思ったら、
DVだっり、
つき合ったと思ったら、
「結婚願望は一切ない」という
男だったり。
どんなに頑張っても報われないと
思うことが立て続けに起きたときは、
心身共に疲れ切ってしまった。
特に母が亡くなった時は、
かなり辛かった。
だが、生まれて初めての週刊の連載が
決まった時で、派遣の仕事と、
取材と執筆と修正とイラスト描き。
もう悲しみに浸りたいたいのに、
悲しんでいられない環境に
身を置かされた状況となった。
功を奏したのか否か、
今でもわからないが、
なんとか生き続けられている。
何度も、もう生きていけないと
思ったことはある。
だけど、少しでも、
自分を求めてくれる人がいるのなら、
死ねないと思えた。
辛い時は、人にも会えない
ときがあると思う。
でもそういう時は、
無理に人に会わなくていいと思う。
ましてや、
心を乱される人と会う必要は、
一切ない。
ここで大事なのは、
自分と向き合うことは
避けないということだ。
とことん向き合う。
自分を嫌いなことも、
自分を卑下している原因とか、
自分の欠点でも。
暗黒から少しでも抜け出せる方法
私が暗黒の暗闇から抜け出せたのは、
3つの事柄だと思っている。
ひとつは、感謝すること。
言い方を変えると、
感謝することを見つけることだ。
今、生きている自分、
今日、過ごせた自分、
感謝することをあえて、
紙に書き出すのだ。
ブログに書くような、
華々しい事柄がなかったとしても、
無事にその日を
過ごせたっていう感謝することを。
なんでもいい。
感謝できる観点が持てるように
視点を変えると、いろんなことが
みえてくる。
それが、どんどん感謝できることが
出てくるようになった時、
乗り越えられている時だと思う。
最初は、無理やりでもいいから書いてみて。
2つ目は、
熱中できる仕事を持つことだ。
持つと言うか、
「作る」と言っていいかも。
今、自分が不本意な仕事をしていると
思っている人は、
本意な仕事に就けるようになる
近づき方を、10年かけててでも
やったほうが得だ。
ぜったいできないと思っていても、
必ず、行動し続けてると、
変わってくる。
向こうから寄ってくることがあるのだ。
3つ目は、
1つの仕事でなくて、
何股もできるくらいの、
いろんな仕事ができる方法を
今からでも作っていったほうがいい。
悔やまれるのは、
雨宮さんが、
独身女性のことに関しての
書く仕事の割合が長く高く
続きすぎたのではないかと
今なら思う。
そのことばかりにフォーカスして、
漫然と苦しくはっきりしないスパイラルに、
毎度毎度自分が飛び込んでいって
物を書かなくてはいけない環境は、
とても辛かったのではないかと
勝手に推測する。
書くことがアイデンティティの大半を
占めていたと彼女は言っているが、
他の事にも手を出すことを行動してみないと
わからない。
責めているわけではない。
方向転換してつまらなくなったって、
言われたっていい。
生き続けていることのほうが、
多くの人は悲しまない。
今の時代は、
流行りすたりも、
めちゃ早い。
自分が就いている職業が、
今後、10年、20年、続けていけるか
今の時代は不明だ。
人工知能がカバーしてくれる
こともたくさん出てくると思うし。
私が今日まで生き延びてこられたのは、
人事、総務、経理、営業、事務長、
輸出、輸入、アナウンス、司会、
借金の督促、試食品販売、ガードマン、
町興し、イベントプランナー、葬儀屋、
女優、ライター、エッセイスト、etc.
と、多岐にわたって経験してきた。
正直、どれもプロフェッショナルと言えない。
でも、お金貰ってやってきたんだから、
そこでもうプロでええがな。
足りないことは、
できると見栄を切った後で、
必死に勉強して対応した。
この仕事しかない、
この男しかいない、
と思うと、不安が付きまとう。
これからはリスクヘッジの時代。
これしかないと思い込まず、
周りに興味を持って情報を見て、
生きていくことが大事だと痛感する。
専門職を持っていてもだ。
男女とも更年期があるが、
独身で更年期を迎えると、
既婚とはまた違った老いの感じ方が
あると思う。
子供を産んでから更年期を迎えるのと、
結婚したいと思っていながら、更年期を
迎えるのでは、心情が違う。
最後に
結婚したからと言って、
幸せかどうかわからない。
結婚してないからと言って、
不幸ではない。
それぞれ隣の芝生は青く見える。
また、彼や旦那がいたって、
自分の喜怒哀楽なことがらを、
同じく共鳴してくれたり、
鼓舞し合ってくれたり、
共感してくれるとは限らない。
男女なんだから、脳の構造が違う。
だから結婚したからと言って、
彼がいたからと言って、
その共感し合える人ばかりでない
ことを訴えておきたい。
つか、そんな人いないと思っておいたほうがいい。
そして、私はこのサイトで訴えたいことを
ここに再び示す。
結婚しないと決めて生きたほうがいい。
(結婚しないと既に思っている人は
どうぞそのままでお進みください)
できるかできないかわからない結婚を
もう考えても仕方ないですから。
これから結婚するかもしれないから、
自分が家を買ってもなぁとか、
これから結婚するかもしれないから、
これをしないほうがいいかなぁとか、
結婚するしないで
左右されてしまう女性の人生を、
あえて背負う必要はないと思うのだ。
結婚するかもと言って人生設計を
立てないで、なんとなく過ごしてしまったら、
取返しのつかないことになってしまう。
家にしても、年金にしても、保険にしても、
自分の仕事のキャリアについても、
雨宮さんの本で何度も本人が自問していた、
ベットにしてもだ。
35歳の女性が5年後に
結婚している確率は、12.8%
40歳の女性が5年後に
結婚している確率は、0.92%
※H22年 国勢調査人口等基本集計
(総務省統計局)より
この確率のことを嘆いても
そんなことないと否定したって仕方がない。
但し、自分が新たな行動をもつて、
今まで会ったことのない多くの人と会い、
今まで経験したことのないことを経験し、
今まで興味のなかったことも興味をもって、
トライし行動を続けていると、
必ず何かに出会える。
新たにやりたい仕事、
新たに携わってみたいボランティア、
新たに体験してみたいスポーツ、
なんでもいい。
お金がないからを理由にしないで、
お金がないならないなりに、
情報を収集すればいいのだ。
だけと鬱病の時は、無理をしないで。
診てもらった先生の言う通りにして
様子を見てほしい。
長年生きてきた経験があるのだから、
必ずなんかしらの強みは持っていると思う。
新しいことをプラスすると、
思ってもみなかったことが
見えてくるものはあると思う。
その中に、生涯一緒にいたいと
思える人に出会える確率だって、
現状より断然確率が上がると思うのだ。
直近のニュースにあった、
阿川佐和子さんの婚約の話しだって、
あるではないか。
頑張れと言いたいのではない。
自分の人生を諦めたり、
嘆く必要はないと言いたいのだ。
そして最後に言いたい。
全ては勇気だと思う。
朝めんどくさいのを起きるのも勇気。
人と会うの勇気。
風呂に入るのも勇気。
部屋を片付けるのも勇気だ。
よしっ!
と、重い体を持ち上げる勢いのでる
言葉は「勇気」だ。
こじらせ女子なら、
勇気を出して、
こじらせていることを満喫して
いけばいいのだ。
生きるのが面倒だと思うこともあっても、
そんな時は、美味しいものをいっぱい
食べて寝ちゃうんだ。
明けない夜も、
止まない雨も、
苦しい時も、
一生は続かないから。
心より雨宮まみさんのご冥福をお祈りいたします。
小文字由子
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