『 親の介護をどうする? vol.9』

2012.4月から連載した
『独中女の心の叫びを聞いてくれ』のリライトです  vol.9

 

歳を取ったときの
万が一の対策を考えた
ライフプランは、
自分のためだけではない

先日「投資の神様」と言われている
投資家&経営者のウォーレン・バフェット氏と
昼食を共にする権利が競売で346万ドル(約2億5000万円)の
高値で落札されたとのニュースを見た。

このウォーレン・バフェットさん。
ハレンチな会社買収で儲けるような投資家ではなく、
企業を長期的に応援していく投資哲学のある人で、
賢人と言われ、お金に対しての品格は人々を魅了しているらしい。

が、大金持ちであることは変わらない。
となると気になるのは、
この人の奥さんなんぞは一体どんな人だろう・・
と興味が湧く。

さぞかし贅沢ないい思いをしているのでは・・
と下世話な想像をしてしまうが、
氏の生活はいたってつましやかとのこと。

55年前に買った家に今も住み続けているという。
加えて自分の資産の85%を寄付しちゃうと宣言したほど。

三人の子育てが終わった頃、
妻スーザンさんの自由をバフェットさんも支持し別居。

代わりに妻は自分の友人アストリッドを夫に紹介。
スーザンが亡くなった後、バフェット氏はアストリッドと
再婚したという。

旦那が賢人なら、妻もまたかくの如し。
自分が死んだ後も夫が一人で
淋しい想いをしないよう、
16歳年下の女性の伴侶をあてがう
ところなんぞなかなかできることではない。

独中女の私は、歳を取った旦那様と
結婚することになった場合に避けて
通れない介護の問題を考える。

出会い系のネットを申し込むと
私の年齢だと50歳後半から
はたまた60代の妻と死に別れた人
などからのアプローチも少なくない。

悲しいかな。
これは自分が歳を取ったことを
自覚する瞬間だった。

ちなみにバフェット氏の様に
経済的な余裕があれば、
介護は外部の力を借りられる可能性も
多く不安も少ない。

が、普通に勤め人として生涯を
全うした人でも、
老後の連れ合いの介護については
様々な問題も山積みだ。

医療の進歩で平均寿命が
男女とも延びている今。

老老介護など話しを聞くと、
まさに愛と体力と最低の経済力が
無ければ乗り越えられない現実が
そこにはあるね。

独身女性の両親の介護は自分 !?
ひとり娘である独中女の慶子(仮名)の場合は。

 

おっと。
ここで今、姿も見えない伴侶の
介護の話しをしても仕方がなかった。

40代独中女が直面するは、
親の介護の問題だろう。

ここで1人の独中女をご紹介しよう。

看護師の慶子(仮名)43才。
家は歯科院。

子供の頃は保母さんになりたかったが
歯科医の父に反対され断念。

ひとり娘の慶子は歯科医になるのが
当然と育てられた。

子供の頃から家はバブリーで、
毎年の家族での海外旅行は当たり前。
土地や不動産も買い運用していた。

経済力を持つ院長の父は
絵に描いたようなワンマン。

慶子は、どうしても歯科医に
なりたいと思えず、
人のお世話がしたいと看護学校に進む。

こうなったら歯科医のお婿さんを
貰って父の歯科医院を継ぐよう
よく言われて育った。

が、世の中そんな思い通りに行く訳がない。

慶子は33才の時に、看護師として働いていたが
体を壊し勤務先の病院を退職。

思い切って全く畑違いの事務仕事を始める。
それまで医療の同業者、公務員、
会社員などと男性と付き合ってきたが、
結婚には至らなかった。

慶子は学校に通い簿記2級を取得。
37才になった時、当時勤めていた会社で
出会った7才年下の男子と付き合うことに。

互いに実家なので、毎回のデートは外で。
セックスもラブホで月に1~2回。
付き合い始めて2年目で父が脳疾患で倒れる。

父は障害が残り歯科医として治療ができなくなり、
歯科医院は閉院。

入院生活が2年。
母が父の看病に通う日が続く。
様々な不動産も処分したり
今後の為の生活の環境作りに忙殺される。

7才年下の彼は結婚の意思が
ほとんどないことが分かった。

自宅介護になった父。
母が全てを受け止めた。
慶子は再び看護師として働き出す。

40代になった体に夜勤がある仕事は
キツイが、給料は事務職より多い。

日中介護を手伝う時間がない慶子は、
一日一回笑顔で父に声掛けることを心がけ、
休みの日にはリハビリの為に父と一緒に
洗濯物を畳んだりする。

一番の心配は、昼夜を問わず
父の介護をしている母のこと。

父がデイサービスに行っている
数時間の間にランチに母を誘い、
愚痴を聞いてあげることが
唯一自分にできることだという。

6年付き合っている7才年下の彼は
結婚する意志が無いのは相変わらずないようだ。

子供を産むことを考えると
居ても立ってもいられないが、
今自分から別れを踏み切る
勇気はないという。

そんな男、とっととやめて
次を探す努力をしたほうがいいんじゃない!?

という言葉を私は飲み込んだ。
結婚する意志がない彼だと分かっていても、
休み日のデートの僅かな時間でも
現実から自分を開放してくれる
彼女にとっての大切な時間になる。

その男に説教してやりたい気持ちになるが、
最終的には彼女が決断するしかない。

今はただ母のことが心配でならいなという。
意識障害と体の障害が残った父。

全て受け止めて父を介護する母。
正直な本音を言うと父が早く亡くなって、
母を旅行に連れて行ってあげたいという。

こう思うことを非情だと誰にも言えない
本音の感情だろう。

だが、食欲旺盛で寝たい時に寝て、
起きたい時に起き動き回る父は
一番長生きしそうだと彼女は言う。

自分の10年、20年後のことは
あまり考えたくないとも。

昔、南野陽子さんが
独身の女性だけが集まった施設を
作って老後支え合える施設を作りたい
と言っていた言葉を慶子は覚えていたが、
「彼女、結婚しちゃったもんね~」
とニッコリ笑った。

私も一人暮らしで脊髄骨折を
して寝込んでいる父がいるので、
他人ごとではない。

親の介護は、子供の自分が
歳を取れば取る程、
現実となる可能性の高い問題になる。

下記の図の「主な介護者の年齢階級」をご覧あれ。

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出所: 厚生労働省「国民生活基礎調査の概況」より
All about ガイド平野直子氏が図表作成
2012年03月

40代女性は介護をする人は、10%。
50代女性は、31%、介護者となっている。

介護をするのは、仕事をしている男性ではなく、
やはり妻である女性が介護をすることが
多いのかもしれない。

 

万が一を、事前に話し合ってる!?

これが独身女性だったらどうなるのか。
問題は言わずもがなだ。

思うことは、両親がまだ健康な時に、
もし倒れて寝た切りになった時
どうしていくかを、両親や兄妹と
話し合うことって大事だ。

介護の為に自分が仕事を辞めなくては
いけないことだって起こり得るからだ。

介護の対策として無理をせず、
行政の介護サービスを思いっきり
活用することも大事。

にしても、どんなサービスがあって、
どの位の自己負担金が発生するかは、
正直詳しく私自身も知らなかったが、
現実のこととなって初めて知ることになる。

慶子とファミレスで食事をしながら話しを
聞かせて貰ったが、2人でデザートの
スィーツを選んでいる時は、
今こんなシビアな話しをしていたと
思えない程、楽しく盛り上がる。

こゆ現実逃避は必要だわさ。

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