独身女性の揺れる気持ちを書き続けた雨宮まみさん(享年40才)
雨宮さんの訃報を聞いて思うこと
面識もない彼女のことを書く理由
私は、雨宮さんと面識もなければ、
共通の友人さえもいない。
彼女の作品を読んでの憶測の範を出ないし
正直言って、文才も明晰な頭脳も持ち合わせて
いない私が、彼女の死について語るのは
いかがなものかと思った。
が、書く。
これには勇気がいるが、
今まで彼女の作品を読んできた読者の方が、
悲しんでいるのではないか。
私と同じようにショックを覚えたのではないか。
そう思うと居ても立っても居られなくなったのだ。
出口のない揺れ動く
独身女性の正直な気持ちを
せきららに綴ってきた彼女の作品。
彼女の綴った気持ちに共鳴し、
読者も彼女の心の動きを同じく辿って、
一緒に途方に暮れ、
一緒に再び重い気持ちと体を持ち上げて、
歩みだした経験の読者の方が多くいると思う。
だが、彼女が綴ってきた独身女性の行く末が、
彼女の辿り着いた死であることに
ショックを覚え、
途方に暮れてさせてはいけないと思ったのだ。
少なくとも、40代独身女性のことを
綴ったコラムを書かせて頂いた私にとって、
雨宮さんとは知名度も作品の格も、
私のほうが低いが、
独女の気持ちを語る端くれとして、
書かせて頂く。
彼女の死因は、自宅内での事故による、
心肺停止と大和出版が発表している。
明らかに、すっきりしない。
警察に発見されたとなれば、
おそらく誰かが、彼女と連絡が取れなくなり、
警察に連絡をして、彼女の自宅に行って
発見されたのではないかと想像できる。
彼女が自死したのではないかと
憶測が飛んでいるが、
そう思わせる断片は、
彼女の作品の至るところに
存在する。
『ずっと独身でいるつもり?』
彼女が37才の時に出版した、
『ずっと独身でいるつもり?』に
こうあった。
※この本は、マイナビニュース
「ずっと独身でいるつもり?」
のWeb連載記事で、
2012年7月から2013年8月に掲載分
に加筆修正し、書下ろしを足して
再編されたものだ。
ちなみに私も
MSN Japanで、
『独中女の心の叫びを聞いてくれ』
を連載始めたのが、2012年の4月から
同じくらいの期間に連載していたということか。
彼女の作品をこの時、
読んだことがなかったのが悔やまれる。
この著作には、独身女性が、
生きづらい様子がどんなことか、
あるある現象・その分析を綴り、
結婚したいと思っているけど、
結婚に至らない自分の葛藤を綴り、
実は本当は自分は結婚したいのかも、
わからなくなっている迷路にはまった
様子を赤裸々に語り、
結婚したい理由を、
彼女は、1人の相手と継続した信頼関係や、
恋愛関係を築きたいからだ
と語っている。
だが、自分のこれからを考える時に
こんなことも言っている。
「最近、ひどく落ち込むことがあり、
家に閉じこもっていたときふと思ったのです。
「とにかくなんでもいいから早く結婚しないと、
私、死ぬかもしれない・・・」と。」
とある。
また、自分が落ち込んでいる状況を
他人には見せられないが、
そんな状態を見せられる
親密な相手がいれば、、と。
そういう姿を見せられるのが、
深い信頼関係、恋愛関係のある
結婚相手であると考えていること。
だが、結婚したからと言って、
そういった関係になるとは
限らないと彼女はわかってる。
だが、独身の自分の今の状態では、
そういう関係を作る機会もないと。
「このまま生きていくことを考えると
人生はあまりに長く、
辛いものだと思います。」
とも綴っている。
このように鬱々としたことを考えるのは、
時間があるからだと。
「だから「死にたい」「死ぬかもしれない」と、
そこまで飛躍して考えるのです。
生きるというのは、
時間あがあるということですから。」
「とりあえず、その時間を忘れるには、
私の場合は仕事です。
暗く、深い寂しさの穴から抜け出すきっかけは、
いつも仕事です。
仕事ができるようになれば、
ある程度時間を忘れられるし、
寂しさも忘れられます。」とも。
また、出産した友人が、
子育てで忙しくて、
寂しさなんて忘れたという言葉に、
「寂しさで死なずに生きるためには、
その「忙しさ」を、
どこかで引き受けないといけないのかもしれない。」
とも。また「孤独死」よりもこわいものとして、
こう述べている。
「私が孤独死よりも怖いのは、
「1人でいきること」です。
さまざまな喜びや悲しみ、
愛情を誰かと共有することがないまま、
たった一人で生きることのほうが、
ずっとずっと怖いです。」
遠くに住む家族もいるし、
友人にも恵まれているし、
仕事もあるし、
読者もいて幸せだが、
1人の相手と濃厚な関係を築きたいと。
だが、そのようなことを語る彼女が、
彼がいなかったわけでも、
結婚に至りそうな機会も
なかったわけではない。
フリーになってから28才~29才の時。
自分の実力を知り、
批評に打ちひしがれ、
鬱病になってしまった。
仕事を辞めたいが、
暮らしていけなくなるかもしれないから、
止められないことを、当時付き合っていた
彼に告げると、「自分が君を支える」と
プロポーズを受けるも、
彼にそんな負担をかけられないと彼女は
思う。
最終的に分かれた決定的な理由は、
彼は子供がほしいが、
彼女はほしくないことだった。
その他にも彼女が
結婚を考えた機会と相手がいるが、
そのほとんどが、相手と人生の生き方の
スタイルの価値感の相違が
明確に見え、結婚に至っていない。
寂しさに負けないでと読者へメッセージするコメントも
また、心の寂しさが勝り、
目の前にいるダメな男にひっかかり、
痛い目に遭ってしまう独身女性に対しての
メッセージとして、
「みなさん、今までにダテに長年独身を
やってきたわけじゃないですよね。
1人で寂しいときには、
それを乗り越える強さもあったんだし、
1人で誰とも一緒に過ごせない休日を
楽しく過ごす工夫もしてきたはずです。
結婚できていない代わりに
女友達との交流や、
仕事の充実をはかってきた人も
少なくないと思います。
~省略~
それを思い出して下さい。」
と、寂しさに負けないよう
メッセージしている。
孤独に襲われる「魔の時間」の乗り越え方を語る
そんな彼女だが、
2015年39才の時に
『自信のない部屋へようこそ』
で、孤独に襲われる夜の対処の仕方を
伝えている。
※2014年~2015年
「モチイエ女子web」での連載コラム
と書下ろしを加えて書籍になった。
女がひとり暮らしをしていて、
困ることなどは、
女の一人暮らしでだけ
起こることではないかと
綴った後で、
「孤独に襲われることがないとは
言えない。
私はそういう時間のことを
「魔の時間」と読んでいる。」と。
1人でいる時間が好きだが、
そんなに1人が好きな自分でも、
耐えがたい孤独を感じるときはあると。
「たいていは、仕事で失敗をしたとき、
仕事の先が見えないとき、
そして、失恋したとき、
もしくはそれに準ずるときだ。
あまりにも普通すぎるけれど、
私が「1人がつらい」と感じるのは
そういうときだ」
「仕事のことも、将来のことも、
それを解決できるのは自分だけだ。
答えを誰かに「はい」と差し出されても、
納得できない。
納得のいく答えを出せるのは、
自分だけだし、それを出すまでの時間こそが、
「孤独な時間」なのだ。
その時間は、だいたい夜にやってくる。
涙が止まらなくなったり、
虚無感や疲労感に襲われているのに、
寝付けなかったりする。
1人暮らしが長ければ、
こういう時の対処も、
それなりに慣れた。
とりあえず、
朝が来れば、
楽になることはわかって
いるのだから、
睡眠薬に頼るときもあるし、
それでもだめなときは、
多少気力があれば、
録画しておいた映画を観たり、
本を読んだりする。
こういうときのために
「何度読んでも勇気づけられる本」が
何冊か置いてある。
単純作業に没頭するのもいい。
細かい拭き掃除をするとか、
服を全部出したたみなおしたり、
アイロンがけしたり。
手を動かしている間は、
悪いほうに考えが向かない。
裁縫や小物の整理なんかもいいし、
靴などの革製品の手入れもいい。
でもほとんどの場合、
動く気力もなく、
自分を励ますことも思いつかず、
ただ、苦しい夜をじっと
過ごすだけになることが多い。
それでもそういうときに
少しでも楽になるヒントとして、
知っておいてほしいのだ。
苦しい夜に苦しさを味わうほどに、
解決に近づけるということは、ない。
その苦しさを味わっても、
いいことなんかない。
一歩間違えば死んでしまう。
だから、どんなにくだらないと思っても、
そんなことに効果はないと思っていいから、
やってみてほしいと思うのだ。
何かをしている間だけ、
私たちは死の方向に引っ張られるのを
止めることができる。」
と、魔の時間に死にたいと思ったら、
手を動かしてやり過ごすことを勧めている。
小文字由子の思うこと
これから言うことは、
彼女を否定したり、
彼女を肯定したり、
感受性が強いから仕方ないとか、
女子が女子たるように、
女子のふりをすることに
抵抗を感じる女子をこじらせる気持ちが、
自分にないと言うつもりもない。
彼女の言う、魔の時間がなかったとも言わない。
でもとにかく、死なないでほしかった。
彼女の死因は事故だと発表されているから、
私が言う彼女が至ったと思われる死の選択は、
想像の中のこととして言っていることを
了承してほしい。
私が2年近くに渡って、
およそ100人の40代の独身女性を
取材させて貰って抱いたことを
述べさせて貰おうと思う。
あの。。。。。
怒るかもしれませんが、
かなり長くなったので、
vol.3へと続きます。
すまない。
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